全てアッラーに従う
預言者たちは誰一人として、自分でこんなシステムを作ってみようかと考えてその仕事を始めたのではない。アッラーが、人間の中から選ばれた者を預言者とされ、その時がくると、預言者として創造されたその人に、完全に預言者としての責任と任務を知らされるのである。彼も、自分が預言者であることをそこで宣言する。それぞれの預言者に、各々にふさわしいアッラーの命令がくだされる。それに従って生き、それが終わるとこの世を去る。我々が生きるために空気や水や食物が不可欠であるように、預言者たちにとってもアッラーの命が必要となる。彼らはアッラーの風によって育ち、彼らの上には常にその風が吹いている。その風が続く限り、彼らは人々のそばで活動を続ける。その風がやむと、もう一つの世界へと飛んで行く時を待つことになる。
彼らは全てにおいて完全にアッラーに従う。アッラーが、彼らに語らせたいことが何であれ、それのみを望まれる形で語る。彼らがもたらす教えはアッラーによるものであり、彼らはこのような形でその任務を果たさなければならないのである。
その任務を行なう際は、相手が承認しようと、拒否しようと、彼らには関係がないことになる。彼らの任務はお告げを知らせることに過ぎない。そのため、相手が彼らに何をしようと、何を言おうと、彼らは自分の道から外れることはない。そしてこの活動から、物質的な何かを求めることは全くない。「片手に太陽を片手に月を与えられたとしても、私はこの呼びかけをやめないだろう」[1]という姿勢が彼らの基本である。
[1] 参照Ibn Hisham, Sirah 2/285
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